今回のお題はこちら、【自分でできる子に育つ「ほめ方」「叱り方」】を読んでみての書評と感想になります。

子育てにおいて、「ほめる」「しかる」は避けて通れませんよね。でも、学校でもどこでも習ったことないんですよね。ほぼ毎日の出来事なのに。
そこで
・「ほめ方、叱り方」次第で子どもって変わるの?
・自分でできる子とは言っているけど、大人と一緒じゃないの?
・モンテッソーリ教育を踏まえた「ほめ方、叱り方」ってどんな方法?
という疑問がある方に自分へのアウトプットを踏まえて、お届けします。
自分でできる子に育つ「ほめ方」「叱り方」(2020/4/17)

この本の対象は3~12歳となっています。
著書はモンテッソーリ教育やレッジョ・エミリア教育を知り尽くしたオックスフォード児童発達学博士です。
【ほめる】【しかる】、というのは色々な育児書でも指摘されていることですが、これがなかなか難しい。
モンテッソーリ教育って何?という方は下の別記事も参照ください。
【レビュー】モンテッソーリ教育を学ぶ、5人子育て中の父ー見守ることが大事ー
以下、本の内容になってきますのでネタバレ注意です。
親の声かけ、でこどもは変わる
親の声かけ、というところから始まるのですが、
子育てにおける2種類の子どもへの接し方があるのはご存知ですか?
- 条件付き子育て
- 無条件子育て
どちらがダメか、言いたいことはすぐにわかりそうですが、具体的に何がダメかを語っていきます。
愛情をエサにする接し方を繰り返すと
ほめられる➡愛されている ほめられない➡愛されていない
具体例)毎晩、娘に絵本を読む約束をしていた。ぐずって言うことをきかなかったためイライラし、絵本を読むのをやめた
<NG行動>子どもにとって父親母親と一緒に過ごす時間を取り上げられることは愛情をひっこめられた
・子どもを一人の人間として尊重しているか。 無条件の接し方は考え方や行動の理由をまず考える 条件付きはただ行動だけをみて判断
・子どもへの愛情は、“見返りを期待しない贈り物”

きっとそうなんでしょうが、怒っているときに冷静にそんなことを考えられません。そんな冷静なら怒っていません。
①条件付き子育て
褒美や罰を使いながら愛情の注ぎ方を調整し行動をコントロールする
1.短期的にしか教育効果がない
2.条件付きの自己肯定感しかもてなくなる
3.親子関係が悪くなる
4.世代をこえてひきつがれる
1.短期的にしか教育効果がない
親の望むようにふるまわなければ愛してくれないという恐怖心やプレッシャーが自分の行動を規制する。一時的に親にとって都合のいい子になるだけ。
2.条件付きの自己肯定感しかもてなくなる
外的な承認(周囲からの賞賛や物的な褒美)によって自己評価が左右される
3.親子関係が悪くなる
条件付きで育てられると親から拒絶されたと感じることが多く、親に対する怒りを覚え関係が悪化する。

論文の引用がありましたが、少し何言っているのかわかりませんでした。露骨にエサをぶら下げるとそんなこともあるでしょうが、それだけでしょうか。。我々大人もある程度、損得勘定で動いている部分もあると思いますし。それが心が汚れていると言われれば否定しませんが…
4.世代をこえてひきつがれる
愛情のかけひきで相手をコントロールすることをインプットされているので無意識に自分の子にもしてしまう。

きっとそうでしょう、だって自分はそのように育てられたのですから。そして学校で子育ては教えられない。ならばそのやり方しかわからない。ではどうしていきましょうか
②無条件子育て
無条件子育てとは、行動のよしあしに関わらず愛情を注ぐ
【愛情を注ぐ】、また難しい表現ですね。具体的には
1.ほめ方、叱り方に気を付ける
2.「子どもに対するイメージ」を見直す
3.子どもにとって良きリーダーでいる
4.子どもへの要求を考え直してみる
5.子育ての長期的なゴールをもつ
1.ほめ方、叱り方に気を付ける
能力や見た目ではなく、努力や経過、具体的な行動に声かけする。 詳しくはのちほど
2.「子どもに対するイメージ」を見直す
子どものイメージが親の行動の根源となる。
例えば
・「子どもには一人でできる力がある」とイメージしていると
➡子どもを信頼し、一人でできる環境を準備し自立をサポート
・「大人と同じように権利をもって尊い存在だ」とイメージしていると
➡子どもの意見に耳を傾け、行動の裏にある理由や気持ちにまで注意

大人に迷惑をかけない子どもでいることを求めていないか
3.子どもにとって良きリーダーでいる
子どもにとっての良きリーダーとは、子どもに向き合い、気持ちに寄り添いながら、必要な制限を設け、子どもに道しるべを示す人

別に子育てに限らず、これは大人社会でも理想のリーダーだと思う。大人社会でも理想。だから難しい! “必要な制限”って…
4.子どもへの要求を考え直してみる
子どもは年齢によってできることも、期待していいことも異なる

これはその通りだと思う。だから子どもは一人一人違うでいいと思う。しかし、できることか、できないことかの判断は保育士さんとか、普段から子どもに接している人ではないとできないのでは? 5歳にこれができるかわからないから、“言ってしまう”のに…
5.子育ての長期的なゴールをもつ
自立した人になってほしいのに、全部やってあげていないか 自分で考えられる人になってほしいのに自分の意見を口にすると「口答えをした」と解釈していないか

子どもが甘えているときはどうするのか? それは冷静に判断し、甘やかすのか。それとも自立のためだと突っぱねるのか。
<表>
自分でできる子に育つ『ほめ方』

いよいよ本題に入ってきます。
最近は日本人の自己肯定感の低さが問題になって“ほめて伸ばす”方法が子育ての主流になっています。
自己肯定感、とっても大切ですよね。【自己肯定感】について、いろいろな本を読んでまとめたことを別の記事でも紹介しています。よければ参照してください。
5人の子育て中の父、育児書に学ぶ自己肯定感とは?【2022年時点】
褒め方が問題「すごい」「よくできた」「才能あるね」が必ずしもよい影響とは限らない
3種類の褒め方どれが正解?
①おざなりほめ 中身のない表面的な褒め方「すごいね、上手」
②人中心ほめ 表面上の特徴ほめる 「優しい」「頭が良い」「かわいい」
③プロセスほめ 努力・過程を中心にほめる
※論文を引用p53
具体例)ごはんをこぼさず食べた
①おざなりほめ、なら 「すごい」
②人中心ほめ、 「お利口さん」
③プロセスほめ 「こぼさないようにスプーンの持ち方をかえてみたのね」
となります。

正解はというと③になるのですが、このプロセスに注目しなければ、気づかないかもしれない。ぼーっとみてんじゃねーよ、ってことでしょうか。プロセスに注目すると時間経過を必要とします、うーん余裕ないかも。個人的には【具体的にほめる】の方がやりやすいです。
『今日は机がきれいだから掃除が少なくて助かる~』みたいな
1.ほめられ依存症になる
2.興味を失う
3.チャレンジ精神が低下する
4.モチベーションが低下する
1.ほめられ依存症になる
承認欲求が強くなるため、外部の評価がないと落ち込み、不安、不機嫌になる
“大人は少なからず承認欲求はあるのではないでしょうか、その度合いの問題なのか。依存症って、これ自体明確に線引きできるものではないので難しいですね。”
2.興味を失う
ほめられることが目的になり、せっかく楽しいと思っていたことにも意義を感じなくなってしまう

子どもってずっと同じことを楽しんでやるものでしょうか、常に同じものに興味をもっていることの方がおかしいと思うのですが。あれやこれやと次から次にやったらポイ。当然、承認欲求がありほめられることが目的化することはあると思うのですが。
3.チャレンジ精神が低下する
周囲からの評価が下がることをおそれ、失敗をさけるためチャレンジすることをためらうようになる
4.モチベーションが低下する
努力の有無にかかわらず「すごい、上手」と言われたらがんばらなくてもよいと思うようになり、努力をして何かを成し遂げる必要性を感じなくなる
ほめるときの3つのポイント
①おざなりほめ、②人中心ほめ、がダメ!で③プロセスほめ、が望ましいことがわかりました。
では実際にどのように褒めたらいいのでしょうか
1.成長よりもプロセス
2.もっと具体的にほめる
3.もっと質問する
1.成長よりもプロセス
いろいろな方法を試すことによって成功できるかもしれないと頑張れるようになる
2.もっと具体的にほめる
具体的なところがないと何がすごいのかもわかれない
具体例)子どもがおもちゃのレゴをつくってみせたら
<模範>「たくさんの色を組み合わせたからカラフルになったね」 「ここは違う色をつかったんだね」 ※具体的な褒め方がおもいつかなければ、事実だけでもok
3.もっと質問する
ほめる、と、質問する、がよくつながりませんでした…
自分でできる子に育つ『叱り方』
次は【しかり方】になります。

罰を与える叱り方NGな4つの理由
1.より攻撃的、反発的な態度を生み出す
2.力をつかった問題解決法が正当化される
3.親子関係にひびが入る
4.罰を与えても反省を促さない
1.より攻撃的、反発的な態度を生み出す
自分に罰を与える相手に怒りを覚え、フラストレーションによりより反抗的な行動で表現する
2.力をつかった問題解決法が正当化される
暴力や圧力で問題が解決できるというメッセージを子ども達におくる
3.親子関係にひびが入る
親を自分の味方と感じることが難しくなる
4.罰を与えても反省を促さない
次の罰をいかに逃れるかを考え、自分の行動のどこに問題があったかを考えない
そして、褒美と罰の2つの落とし穴
1.どちらも与え続けないといけなくなる
2.子どもが自己中心的な考え方になる
じゃあ、どうしたらいいの!?
上手なしかり方の4つのポイント
実は、上手にしかるのは上手にほめるより難しい
1.「ダメ」「違う」はできるだけ使わない
2.結果ではなく努力やプロセスに目を向ける
3.好ましくない行動の理由を説明する
4.親の気持ちを正直に伝える
1.「ダメ」「違う」はできるだけ使わない
緊急時は仕方がないが、まずは肯定のことば(わかるよ、そうだったのね)から始める。否定から入ると戦闘モードになり、フラストレーションが爆発しやすい状態になる
2.結果ではなく努力やプロセスに目を向ける、3.好ましくない行動の理由を説明する

具体例までふまえて記載されていますが、そもそも大事なことは感情的にならないことでは?と思いました。感情的にならず冷静にいられるから、叱り方まで考えられるのでは。
4.親の気持ちを正直に伝える
私メッセージ(I message)とは相手を批判したり否定したりせず、私の気持ちを中心に伝える
対して「あなたメッセージ」はあなたという相手が中心で、受け手側は責められたと感じやすく、攻撃的になったり言い訳をしたりと自己防衛反応をとりやすくなる。

意外なことにオトンはできている方かなと思いました。ただ、それは冷静なときだけです。叱るとき余程の危険がないとき、緊急性がないときは1回目からは感情的、否定的には叱っていません。でも2回目からはそうはいきません。そして多くの場合、子ども達は1回目で優しく言っても聞きません。そこで【何度言ったらわかる?】という禁句もでてくるわけですが。
オトンにとって根本的な解決は【叱り方】ではなく、アンガ-マネージメントなのかもしれません
子どもがのびのび育つ<アクティブリスニング>

アクティブリスニングとは、話し手に対して100%の注意を向けて無条件に聞き入れる。

これは何度も様々な育児書で言われていたことです。片手間に子育てはしない。スマホ触りながら子どもの話しをきくな!ということですね
100%の注意を向けてもらえることによって子どもは自分の話が聞いてもらえているという安心感から言い訳や駆け引きをしなくなる。
➡親子関係の向上につながる+自己肯定感upにも
1.ボディランゲージ
2.無条件の受容精神
3.反映力
4.コミュニケーションのバリケードに気を付ける
1.ボディランゲージ
相手のへの興味や関心を示すSOLER原則
Square:相手の正面にすわる
Open:足や腕を組んだり手遊びしない
Lean:相手に体を傾ける
Eye contact:目を合わせる
Relax:落ち着きをたもつで状況を作る
2.無条件の受容精神、3.反映力
子どもの話に心から興味をもち、真摯に受け止め、信頼し、一人の人として尊重
4.コミュニケーションのバリケードに気を付ける
ジャッジしない!解決してあげようとしない!話をそらさない!

このあたりは夫婦関係にも役立つかもしれませんね。同じことを父親ができる最高の子育て、という別の記事でも書きました。
そして、良好な夫婦関係が最高の子育てになり子供も、のびのび育つ。最高じゃないですか。一石二鳥!
【レビュー】父親ができる最高の子育て、たった一つのこと、お父さんできてる?
※子どもとぶつかる7つの習慣
紹介されていましたが、この7つの習慣に当てはまるものがなければ、そりゃ育児に悩まないし、このような本は読まないでしょ。ということでカット!
この7つの習慣に興味がある方はご購入して確認してみてください。
まとめ
上手にしかるのは上手にほめるより難しい、とありました。
難度:上手にしかる>上手にほめる
ですので、まずはほめる練習からでいいと思います。少し上手なほめ方ができるようになってから、しかる練習。
また本書にも書かれてありますが、全部やろうとしなくてもいい。無理しない子育てを。親自身の心の満足度が高い状態であることが非常に大切としています。オトンも同感です。
オトン的には【ほめよう】という意識があるだけでまずは合格ではないでしょうか。そこにもう少し深みをもたせるといい感じになるのかな。練習すればできるようになるのでしょうかね(笑)
途中、話を聞く態度として『SOLER原則』というカッコイイものがでてきましたが、もっと単純に
1.黙ってうなづく
2.なるほどねー、と共感
3.時々、問いかけ
でもいいかもしれません。【父親ができる最高の子育て】の別記事でかいたものです。
【レビュー】父親ができる最高の子育て、たった一つのこと、お父さんできてる?
最後に、少し悩んでいることがあってこの記事を読まれた方もいるのではないでしょうか。
「モンテッソーリ教育」「ほめ方、叱り方」なんて真剣に考えているだけで、すごいことだと思います。
モンテッソーリ教育を受けたから藤井聡太、ビルゲイツ、ジェフベゾスなどが現れたのではなく、モンテッソーリ教育を知っている親が築いた環境の中で育ったことが大きいのではないでしょうか。
モンテッソーリ教育は偉大な人達をうんだ環境の一要因でしかないのかなと思います。
全部はできないし、理想論でもあります。
自分達のペース、できるところでやっていきましょう!
最後まで読んでいただきありがとうございます、ほな~
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